鍼灸と腰痛、鍼灸と自律神経に関する様々な症状

 

鍼灸師 濱野英太郎

第五回:東洋医学的な鍼灸と婦人病

前回、自律神経に関する様々な症状は、東洋医学的な鍼灸の得意分野であると書きました。

実は女性ホルモンのバランスの崩れや血行障害で引き起こされる様々な婦人病ついても、広い範囲で症状が現れるため東医学的な鍼灸治療がとても有効であると言えます。

婦人病の中で良く見られるのは、ひどい生理痛に生理不順や月経前症候群や更年期障害、また不妊症そして妊娠中のトラブルなどが挙げられます。

内分泌系の女性ホルモンは、自律神経と同じ大脳の視床下部でコントロールされています。そのため、内分泌系と自律神経系はお互いに影響を与え合っていると言えます。よって、この部分のバランスが悪くなると、イライラや頭痛、肩こり、腰痛、倦怠感どの全身症状が起こりやすくなります。

また、女性は一般的に筋肉量が男性より少ない為に、血行が悪くなりやすく、冷え性の方が多く見られます。特に下半身は冷えやすく、骨盤内臓器の働きに影響を与えます。


東洋医学の五つの要素で分類するところの「水=腎のエネルギー」は生殖をコントロールしており、「土=脾のエネルギー」は血を全身にうまく循環させる働きがあり、そして血(けつ)を貯蔵といわれる「木=肝のエネルギー」は血を貯蔵して心臓に送る血液をコントロールしています。

東洋医学的な鍼灸では、これらの要素に注目し、それらに繋がる経絡の乱れをよく診て、正常な働きを取りもどすように調整してゆきます。

また、婦人病でよく使われるな経穴(ツボ)として、内踝(うちくるぶし)の上方にある「三陰交(さんいんこう)」。仙骨上の左右八つのツボ「八りょう穴」、膝のお皿の上内側にある「血海(けっかい)」があります、背中の「隔兪(かくゆ)」、また、逆子を直す足の小指にある「至陰(しいん)」も有名です。

ちなみに、鍼灸というからには“お灸”も治療には使われます。東洋医学的な鍼灸では“お灸”は“血(けつ)”を動かすのに有効であると言われています。

婦人病は、「血」の循環に深く関わり、「冷え」の症状も伴うことがお多いので、お灸がよく使われます。

お灸には米粒大の大きさで一瞬チクッとするタイプや、小指の先位の大きさで、やんわりと温めるタイプなど、様々な種類があります。また、お灸の煙の香りはリラックス効果もあり多くの患者さんに好評です。

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“お灸”というと、昔おじいちゃんが熱いのを我慢していたとか、子供がいたずらをすると“お灸”をすえられたなどの話を聞いたことがあるかもしれませんが、最近は皮膚に大きな跡を残すような事はしないので心配しないで下さい。

原料はヨモギの草を乾燥して作られます。滋賀県の伊吹山近辺のよもぎを使ったお灸が昔から有名です。

簡単に家で出来るタイプのお灸もオンラインショップなどで手に入るので、日頃の健康管理にお勧めします。

昔から日本では、お灸は婦人病以外にも、昔から様々な症状や免疫力の強化に使用されてきました。

余談ですが、“モグサアフリカ”というイギリスのNGO団体が、アフリカの肺結核に苦しむ人たちを“お灸”で救おうと活動しています。www.moxafrica.org

 

戦前に、お灸の免疫力の強化作用を利用して、その頃日本で流行っていた肺結核に応用しようと提唱した原志免太郎(はらしめたろう)博士の論文に注目して、日本式のお灸を採用したという事です。


次回はコンピューターワークによって起こる様々な症状について書きたいと思います。