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鍼灸と腰痛、鍼灸と自律神経に関する様々な症状

 

鍼灸師 濱野英太郎

2-1:東洋医学的な鍼灸治療って何?  「気」、「経絡 (けいらく)」、「経穴(けいけつ)」 

東洋医学的鍼灸に不可欠な概念が「気」、「経絡 (けいらく)」、「経穴 (けいけつ)」そして「五行」、「陰陽」があります。

まず、「気」、「経絡」、「経穴」についてみていきたいと思います。一般的には馴染みのない言葉なので、それらをすぐに理解するのは難しいかもしれません。

まず一番大事なのが「気」という言葉です。「気」と聞くと何か胡散臭いものと思われる人もいるかと思います。病気は「気」が病むと書きますね。「病い」は「気」からとよくいわれますが、実は「気」という言葉は日常でよく使われています。たとえば、気にする、気が気でない、あの人はその気がない、気持ち悪い、気が違う、気が散る、気が迷う、元気、陽気、陰気、殺気、活気、本気など沢山あります。

英語では中国読みの「Qi」になります。辞書で引いてみるとIn traditional Chinese medicine, vital energy or  life force that keeps a person's spiritual, emotional, mental, and physical health in balance とあります。

伝統中医学分野では、人の霊的、情動的、精神的、身体的バランスを保つ生命エネルギーまたは生命力と訳せます。

言い換えれば、人間を社会的、精神的、身体的に活動させている根源的な目に見えない力が「気」であると言えるでしょう。

 

古代の東洋において、科学が発達していなかった頃は、医者は患者の病気を診るのに、その人から発せられる「気」を診てどこが悪いのかを判断しました。

 

例えば、伝統中医学の診断法に「四診」があります。

 

「望診」その人のから発せられるエネルギーや顔色などを診る。

 

「聞診」その人の声やその人が発する臭いを感じる。

 

「問診」質問する。

 

「切診」触って感じる。(舌診や脈診や腹診も含みます)

 

このようにして、東洋医学では、総合的にその人の「気」の病んだ原因を診断する方法が確立されています。

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次に、「経絡」(けいらく)ですが、簡単にいえば「気」の流れるルートになります。

主なものは身体に12本あり、各内臓機能と繋がりがあります。

「経絡」は死体を解剖しても発見できません。なぜなら死体には「気」が流れていないからです。「生きている身体」しか「経絡」は存在しないのです。

目に見えない為、鍼灸師の間でもその存在の有無には議論がありますが、何千年も前に確立された医学を、世界中の鍼灸師が現在でも臨床で応用しているという事から、その存在には確証があると言えるでしょう。

そして、「経穴」(けいけつ)です。いわゆる(つぼ)です。ここを圧すと胃痛に効くとか頭痛にいいとか、昔から民間療法で使われているツボはありますが、鍼灸治療で使用される身体の根源にある生命力に働きかけるツボは、「経穴」と呼ばれます。「経穴」は気の流れるルート「経絡」上にあり、「気」が出たり入ったりする所です。

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