鍼灸と腰痛、鍼灸と自律神経に関する様々な症状

 

鍼灸師 濱野英太郎

第二回 (2) 東洋医学的な鍼灸ってなに?「五行」と「陰陽」

 

 

次に、東洋医学理論の骨格をなすのが、「五行」と「陰陽」という概念です。

 

「五行」というのは、自然界の働きを5つの要素に還元したもので、木、火、土、金、水の5つになります。それら5つの要素は、おのおのがお互いに関係性を持ち、万物のあらゆるものが五行に分類できると考えられます。すなわち:

 

  1. 身体の臓器に当てはめるとそれぞれ、肝、心、脾、肺、腎となります。

  2. パーツに当てはめれば、目、舌、口、鼻、耳となります。

  3. 組織に当てはめれば、筋、血管、肌肉、皮膚、骨となります。

  4. 感情に当てはめれば怒、喜、思、悲、恐 となります。

 

 

東洋医学の臨床では、症状をはじめ、患者さんが表す全ての事象を五行に分類して診断や治療を行います。

 

また「陰陽」は、相対的に作用し合う、相反する性質や働き、また「気」の状態の事を言います。皆さんも白と黒の二つの魚の様なものが合わさった陰陽マークをご存じの方いるかもしれません。この陰陽マーク☯️は、物事は二つで一つを意味しています。正式には「陰陽太極図」といいます。これは陰と陽のダイナミックな動きとバランスをうまく表しています。

 

たとえば自然界では、夜と昼、北と南、天と地、冬と夏、月と太陽、女と男、右と左、静と動などに当てはまります。また西洋医学では、交感神経と副交感神経、酸性とアルカリ性の関係が陰陽に当たるでしょう。

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では、東洋医学において陰陽を使う例として、虚と実という組み合わせがあります。例えば患者さんの状態を表すのに、「虚証」というと体力が低下して弱々しいタイプの人、また「実証」は体力が充実して活発なタイプというように分類します。そして表と裏の組合せで、表証(ひょうしょう)は病気が体の浅いところにある急性のタイプ、裏証(りしょう)は深いところにある慢性のタイプの症状です。そして「寒証(かんしょう)」は、その病気の患部が冷えて固まっているタイプ、熱証は炎症性の熱を持っているタイプと言えます。

 

つまり、東洋医学においては、陰陽、虚実、表裏、寒熱という状態の組み合わせから患者さんの身体を観察してゆきます。

 

「気」、「経絡」、「経穴」、「五行」、「陰陽」

 

これらの用語を通して、東洋医学的な鍼灸の考え方を少しご理解頂けたと思います。これらの概念は、古代の東洋の医師たちが書き残した書物を通して、現代に受け継がれてきました。人間は自然の法則に従って生まれ、自然と共に生きてきました。どんなに科学が発達した現代においても、その「いのち」の働きは変わることはありません。医療の原点は「手当て」にあります。患者さんの身体から発する「気」を手掌で感じ取り、鍼灸という道具を通してその病を癒していく行為が、東洋医学的な鍼灸といえるでしょう。

 

 

次回からは、鍼灸が適応する様々な症状について、個々に説明してゆきましょう。